ジャンプ漫画(ライジングインパクト復活)
(99/05/14)
週刊少年ジャンプ(以下、ジャンプと記す)を買いつづけていつのまにやらもう10年以上。
当時から未だに連載が続いているのはもう「こち亀」だけですね。
その間、数々の作品が始まり、終わっていきました。
ジャンプ編集部の方針として、人気がなくなったら即刻打ち切りという泣く子も黙る鉄の掟が存在しています。
この掟は、たとえジャンプの看板漫画として活躍した漫画であっても例外なく、それはもうバッサリ斬り捨てます。
新連載漫画も人気が出なければ単行本一冊分(約2ヶ月分)で終わり。
「それがジャンプの面白さの秘密だ」みたいなことをかつて編集長が語っていましたね。
このジャンプの編集方針にしたがって、数々の漫画が現れては消えていきました。
連載が続くうちに人気のなくなっていった作品はとりあえず置いといて、
連載開始早々消えていった漫画が全てダメな作品だったかと言うと、当然そんなことはないわけです。
そして「ライジングインパクト」(鈴木央)という作品。
99年3月に連載第15回目にして打ち切りになったゴルフ漫画です。
この漫画は、主人公の少年ガウェインをはじめとしてキャラクターが非常に魅力的で、
ストーリーの展開もけしてつまらないものではなかった。にも関わらず打ち切られてしまいました。
理由としては、ゴルフという題材であるとか、いわゆるジャンプ漫画とは趣の違うほんわかした作風、
やや雑にも見える描線など、爆発的な人気を生むタイプの作品ではなかったことが挙げられると思います。
つまりじわじわと人気の出るタイプだったということでしょうか。事実、ライジングインパクト終了直後は
ジャンプ感想系HPのほとんどで終了を惜しむ声が聞かれました。
中には「編集部は(ライジングインパクトを)打ち切ったことをあとで後悔するに違いない」なんて
ちょっと過激な意見もあったみたいですね。
そしてその声はジャンプ編集部に届いたのです。「ライジングインパクト連載再開」という
これ以上ない形で答えがかえってきました。なかなかニクいことをやってくれるじゃないですか。
復活するからには、作者の鈴木央先生には今後もがんばっていただきたいですね。
さて、ジャンプ漫画で一度完結しながらも連載再開したというケースは
非常に珍しいんですが皆無ではありません。私の知る限り(過去10年間)では
「県立海空高校野球部員山下たろーくん」(こせきこうじ)、「アウターゾーン」(光原伸)、
「キャプテン翼」(高橋陽一)、「忍空」(桐山光侍)がそうです。
「県立海空高校野球部員山下たろーくん」(こせきこうじ)
ある意味ライジングインパクトと共通するところが多いかもしれませんね。
一度は10週で連載が終了しましたが、連載復活。その後は約3年連載が続きました。
この作品は私も好きで、単行本も揃えました。
史上最高の野球部員を目指す、ドヘタクソで発展途上人間の山下たろー。そして山下たろーに影響されて
同じように野球に熱中するチームメイト達。泥と汗にまみれて悪戦苦闘しながら少しずつ成長していく
登場人物達はみな生き生きとしていました。
今一つ記憶が定かではないのですが、「たろー」はもともと短期集中連載だった気がするのです。
というのも最初の10話で山沼戦にきっちり決着がついているからです。話を省略した形跡もなく構成がしっかりしている。
この辺の事実関係を知っている方はいませんかね?
「アウターゾーン」(光原伸)
これは説明が難しいな。ファンタジーショートストーリーかな。海外の短編小説で扱われるような題材です。
若干オカルト要素あり。個々の話に関連性は全くなく、それぞれの世界の案内人としてミザリィという女性
(のようだが正体は定かではない)が存在するだけ。
なんというか子供が読むにしては若干難しいけど、大人が読むと子供だまし・・・かな?
独特な雰囲気を持っていて、私も嫌いじゃなかったんですが、正直、長続きしないだろうと思ったし、
連載が一度終わったにもかかわらず復活するというのはなかなかに不思議なことでした。
まさに「その謎の答えはアウターゾーンの彼方にあるのです」ということか。
アウターゾーンは掲載順がラスト固定になっていました。
時々、アウターゾーンの後ろに掲載される漫画もありましたがその漫画は100%に近い確率で最終回なのです。
そう、アウターゾーンの後ろに掲載された漫画は文字どおりアウターゾーンの彼方に消え去るわけです。
恐ろしい漫画でした。
「キャプテン翼」(高橋陽一)
ジャンプの時代を作った漫画のひとつですね。説明の必要もないかな。
翼終了後、色々なスポーツ漫画を手がけたにもかかわらず、あまりヒットせず結局翼に戻ってきたという感じが強い。
他のリバイバル組とはちょっと違うように思います。
「忍空」(桐山光侍)
忍術と空手を組み合わせた忍空の使い手、風助と、その仲間達が力を合わせて戦う、といったところでしょうか。
絵柄にかなりくせがあって、そのため敬遠した人も多かったようです。主人公の風助の顔がギャグ漫画チックで
実際に漫画を読むまではギャグ漫画なのかと思ってましたし。
ジャンプ誌上での人気も盛り上がってきてアニメ化も決定。順風満帆という感じで、ストーリーは新展開に突入。
・・・しかし、このシリーズで人気が急落。あっという間に打ち切りになりました。
ほんとに、何があったんだろうと不思議に思うくらいの転落劇でした。
裏の事情があったのかどうか分かりませんが、ほどなくして連載再開。再開前の場面設定より前の時代を描いていました。
しかし、かつての人気は取り戻せなかったようです。
こうしてみるとライジングインパクトの復活というのは本当に希なケースのようですね。
有望新人漫画家の不在と見ることも可能ですが、復活すること自体は素直に喜んでいいと思います。
編集部がこういう柔軟な姿勢(休載を認めることとかも含む)をみせることで
失われたジャンプ自体の人気を回復することにもつながるんじゃないでしょうか。
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